ステロイド製剤の塗り薬(その9)キンダベート(製剤は、なんで軟膏だけ?)

キンダベート軟膏

キンダベート軟膏の主成分は酪酸クロベタゾンでグラクソスミスクライン(英国)から発売されています。


 酢酸クロベタゾンはステロイドの強さの分類ではクラスⅣ(Mild)普通の効果に当たりますがやはりハロゲン化ステロイドです。


効果

比較的症状が軽いアトピーなどの皮膚疾患に用いられるほか、顔などのデリケートな患部にも使いやすい薬です。


作用が穏やかで全身性の副作用も弱いので肌の弱い、幼児や赤ちゃんにも用いられます。.


製剤

先発薬のキンダベートは軟膏だけですがジェネリック薬としてキンダロンの名前で佐藤製薬からローション剤も発売されています。


一般的に軟膏剤はベタベタしているので製剤としての評判は悪いのですが、グラクソ社からは軟膏剤だけです。


キンダベート軟膏の処方ですが、流動パラフィン、白色ワセリンの油脂性基剤のみで他の添加剤は全く含まれていません。


シンプルな処方が好きな私はこの処方に好感を持ちますが、製剤技術者には複雑な添加剤を

駆使して処方を組む芸術家肌の人もおられるので、あくまで私の個人的見解です。


最後に

処方が単純であるほど、製剤の製造は難しくなってきます。  


複雑な処方の場合、添加の順序や添加物の攪拌速度を変えるなど細かい条件変更が製造現場の工夫でしやすいのですが、単純な処方の場合工夫をする箇所がありません。


一般的な話しですが、日本の製剤に比べて欧米の製薬会社の製剤は雑に作られています。


よく見ると軟膏に色むらがあったり、小さな異物がみられたり、それが薬の効果に影響するか????


と問われると、製剤研究者の目でみるからわかる程度の問題で、確かに一般の人にはわからないので効果には関係はないと思います。


先日メルセデスベンツの技術者の方(日本人)と話をする機会があったのでドイツのものづくりについて聞いてみました。


彼は日本の自動車メーカーからメルセデスに転職したそうですが、日本なら出荷不可の判定が出るような塗装表面の色むらを指摘したら


なぜ改善する必要がある???走りに何か影響があるのか???と逆に質問されたそうです。


国民性の違いということですかね?



薬の千夜一夜物語 漢方薬編

ヨーロッパでは漢方薬のようにハーブを処方箋薬として使います。 インドにはアーユルベーダを利用した医学があります。 日本の漢方医学は中医学とは異なり西洋医学の考え方を織り込んだ漢方薬です

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