ステロイド製剤の塗り薬(その8)メサデルムとそのジェネリック(古き良き時代?)
前回 書きましたが
メサデルム(デキサメタゾンプロピオン酸エステル)
と
ボアラ (デキサメタゾン吉草酸エステル)
の関係と
リンデロン-DP(ベタメタゾンジプロピオン酸エステル)
と
リンデロンーV(ベタメタゾン吉草酸エステル)
構造式上は全く同じです。
しかし 何故かメサデルムはclassⅢでリンデロンDPはクラスⅡでした。
似たような構造式のデキサメタゾンとベタメタゾンに対してまったく同じ分子デザインを試みているのに。。。。。。。。。
ミクロの世界は不思議ですね????
メサデルムとそのジェネリック
さて、製剤に目を向けてみます。
メサデルム(大鵬薬品)にはジェネリック薬が複数あります。 古い薬なので、最近の一般名表記ではなく、ジェネリック薬もそれぞれブランド名をもっており、各社特徴を出しています。
最近は新薬メーカーと同じ様な処方で塗り薬を作ることも多いですが、効果や副作用が変わらないのならば、より使いやすい製剤で発売する。
昔のジェネリック薬にはそれぞれ、特徴があり、ブランド化を図って他社のジェネリックメーカーや新薬メーカーと差別化を図っていました。
前置きはこれくらいにして
メサデルム(大鵬薬品)
メインベート(佐藤製薬)
プロメタゾン(日医工)
の3種の軟膏剤の処方比較をしてみました。
メサデルム
白色ワセリン、流動パラフィン、ワセリン ・・・・・・・・油性基剤
炭酸プロピレン、モノステアリン酸グリセリン、ラノリンアルコール・・・界面活性剤
プロピレングリコール・・・・・・・・・・・・溶媒
油性基剤として3種を混合して用いています。 また3種の刺激性の少ない界面活性剤を添加しておよび溶媒は、基剤同志、および基剤と主薬との混和性を(デキサメタゾンプロピオン酸エステル)よくするために入れられています。
メインベート
ワセリン・・・・・・・・・・・・・・・・基剤
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40・・・・界面活性剤
プロピレングリコール・・・・・・・・・・溶媒
それぞれ、一種類づつのシンプルな処方で好感の持てる処方ですね。
プロメタゾンは
ワセリン、オリブ油、サラシミツロウ・・・・・基剤
クロタミトン・・・・・・・・・。。・・・・ 安定化剤
メチルパラベン、ブチルパラベン・・・・・・・防腐剤
油性基剤のうち、ワセリン以外は天然成分です。 天然由来の油脂は不安定であるためクロタミトンを安定化剤として、また2種の防腐剤を加えています。
防腐剤(パラベン)や薬効を持つクロタミトンを添加していますが、天然由来成分を基剤として用いる自然志向は古い製剤であるだけに興味深いです。
さて、クロタミトンはオイラックスの主成分で痒み止めの効果を持ちます。 また接触性皮膚炎の副作用もあります。 もちろん添加量はオイラックスよりはずっと少ないですが。。。。。
最後に
錠剤や、カプセル剤と異なり、塗い薬は、使いごごちの違いが薬自体の評価を変えてしまうことがあります。
アトピーの患者さんにとって長く付き合う製剤、さらにステロイド剤は新薬の開発自体ほとんどされていません。
各社の処方の特徴の違い(古き良き時代???)を見てみるのもたまには・・・・・・・・
いかがでしたか?
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