1回分が3349万円の抗がん剤キムリア 薬剤師的に解説してみた
今日は、キムリアの解説です。
まずは、細胞免疫療法の説明
古くから活性化されたT細胞はがん細胞に効果があることが分かっていました。
そこで、T細胞をたくさん注射すればがんは治るよね?
これが細胞免疫療法の基本的な考えかたです
しかし、他人のT細胞や、動物由来のT細胞はアレルギー反応のためたくさんは注射できない
そこで、考えられたのが養子免疫療法
がん患者さんから採取したT細胞を活性化して、細胞培養で増殖させてから投与する。
これが養子免疫療法です
キムリアの場合
CAR-T(キメラ抗原受容体)T細胞療法と呼ばれます
活性化はCAR(キメラ抗原受容体)をT細胞に遺伝子導入することにより行います。
キムリア™
は、
① 患者さんから白血球細胞を採取し(白血球アファレーシス)液体窒素で凍結してメーカーに送付します。
② メーカーは白血球細胞中のT細胞にCAR(キメラ抗原受容体)を遺伝子導入にすることによって活性化します。
③ 活性化されたT細胞は培養により増殖された後、液体窒素で凍結され患者さんのもとに送り返されます。
④ 使用する直前に解凍して患者さんに点滴静注されます。
オーダーメイド医療とは
最後に古くからテーラーメイド医療、個別化医療などと呼ばれていますが、
キムリアは患者さんのT細胞を個別にメーカーで加工してそれを治療に用いる始めての薬として発売されました。
非常に高額ですが、1回の投与で難治性小児白血病の治癒率が80%を超えており、テーラーメイド医療の将来を占う第1弾のお薬です
0コメント