ニキビ治療薬 (4) ダラシンTゲル
デュアック配合ゲルはその名前の通りベピオゲルとダラシンTゲル2つの薬のいいとこ取りをしたいわゆる配合剤でした。
ベピオゲルの有効成分過酸化ベンゾイルはその構造式中の余分な酸素が殺菌作用を示しニキビを治療するユニークなニキビ治療薬でした。
本日はデュアック配合ゲルのもう一つの薬であるダラシンTゲルです。 有効成分はクリンダマイシンで名前から【~マイシン】わかるように抗生物質です。
抗生物質は生体内に寄生する細菌を殺す薬であることは皆さんご存知の通りですが、ニキビの原因菌はアクネ菌とマラセチア菌です。
マラセチア菌はアクネ菌ほど有名ではないですが背中や胸などにできる身体ニキビの原因菌です。 マラセチア菌はアクネ菌と同様に皮膚に住みつき、皮脂分解酵素を分泌、皮脂を遊離脂肪酸とグリセリンに分解でできた不安定な遊離脂肪酸は空気と接触し毒性のある過酸化脂質に変化し、皮膚を炎症へと導きます。
アクネ菌もマラセチア菌も常在菌で、すべての人に存在するわけで腸内細菌群の様に決して単純に悪者扱いして良い菌ではありませんがニキビの原因菌となってしまった場合は退治する必要があり、クリンダマイシンはこれらの嫌気性細菌に効果を発揮します。
クリンダマイシンは嫌気性のグラム陽性菌に良く効くために口腔内や腹腔内の感染症にも用いられ、またキニーネとの併用でマラリアにも効果を発揮します。
クリンダマイシンは抗生物質ですので使い続ければ当然耐性菌が出現します。 日本人にはクリンダマイシ耐性のアクネ菌やマラセチア菌は少なく10~20%程度と言われていますが、白人の場合、70~80%のニキビの原因菌はすでにクリンダマイシン耐性だとの報告もあります。 この理由は欧米でかつて広く用いられたマクロライド系抗生物質がクリンダマイシン(リンコシン系抗生物質) に交差耐性を持つためだとされています。
最後に効果のある抗生物質を長持ちさせるためにできること、
① ニキビの種類を限定して用いること
② 長期に渡る連続使用を避けること
③ ニキビにピンポイントに塗ること
0コメント