アトピーの塗り薬(その3)グリメサゾン軟膏(ナノテクノロジーの応用で脱ステロイドの第1歩)
グリメサゾン軟膏とは
やはりアトピー性皮膚炎の患者さんにとって、ステロイド剤の副作用に対する恐怖は大きいものがあると思います。
ナノテクノロジー技術の応用により、デキサメサゾン(ステロイド)を含んでいますが、副作用を抑えた製剤とされています。
成分
グリメサゾン軟膏の主成分は脱脂大豆の乾留タールであるグリテールとデキサメタゾンです。
タール剤は古くからアトピーの治療に用いられてきた薬剤で、かゆみを抑えます。
デキサメタゾンって確かにステロイドですがこの薬には添加物としてβーシクロデキストリンが入っており、ステロイドの体内への侵入を防いでいます。
効果
シクロデキストリンって何?って思われる方は多いと思われますが難しい説明は省略して水に溶けないものを、水によく溶ける様にするものがシクロデキストリンです。
ステロイドの塗り薬の怖いところは油によく溶けるため皮膚透過性が高く体内に侵入し依存性を形成することです。
しかしグリメサゾン軟膏ではデキサメタゾンをβーシクロデキストリンに包接することで水によく溶ける様にして軟膏からのステロイドの体内吸収を阻害しています。 つまり、塗布した局所にその効果を限定しているわけです。
古くから使われているタール剤と組み合わせ、ステロイド離脱療法の第一歩として特徴のある良い薬だと思います。
最後に
さてシクロデキストリンですが、ナノテクノロジーの一分野で最近ではカーボンナノチューブやフラーレン等が有名ですがシクロデキストリンも古典的なナノテクノロジーです。
余談になりますが、最近の柔軟剤(洗濯用)は良い匂いがするものが多いですが昔の柔軟剤は柔らかくするためだけのものでした。
P&G社の技術者が柔軟剤にシクロデキストリンを混ぜて使うことを思いつき、当初は洗濯物の汗や皮脂などの油汚れを水に溶けやすくして、除去するためにシクロキストリンを混ぜていました。
この際、配合量を工夫すると洗濯物の匂いがなくなることを見つけました。
体内の匂いの元は油であることが多いです。 アブラ=臭いというイメージが有るかと思いますが、ベンゼン環を芳香族と呼ぶことからも良い匂いもアブラであることが多く。
現在の柔軟剤が良い匂いがするのはあらかじめ良い匂いのする物質をシクロデキストリン中に封入しておき、洗濯中に良い匂いの元が徐々に離れていき空になったシクロデキストリンが洗濯物の皮脂汚れを取るという仕組みになっているからです。
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