ポリエチレングリコールについて(その4)

さて昨日に引き続き浸透圧の話


膠質浸透圧またはコロイド浸透圧とも呼ばれる浸透圧がある。


分子量の大きな化合物は消化管を通過することができない。


どのくらいの分子量が限界なのかは、正確にはわかっていないが、500程度だと推測されている。


つまり、ポリエチレングリコール4000(モビコール配合剤に含まれる分子量4000のポリエチレングリコール)は消化管壁を通過できないため、ポリエチレングリコール4000を含む溶液にとって消化管壁は半透膜になる。


当然消化管壁の内外に浸透圧差が生じるため、ポリエチレングリコール4000を多く含む水は体内から消化管内に水を引っ張りだすこととなる。


モビコール配合剤™はこのような方法で便秘の治療薬としての効果を示す。


効果が高く副作用が少ないため、欧米ではポリエチレングリコールは汎用されているが、日本では2018年9月に小児科学会の要請により承認された。




以下は余談であるが


コロイド浸透圧は体内の水分量の調節を絶妙に行っている


牛乳の吸収で解説してみる。


牛乳には、脂肪やカゼインの微粒子(コロイド)が存在しており、光を散乱させるため、白く見える。


これらの微粒子は血管壁を通過することができない。   そのため、リンパ管によって全身に運ばれる。


リンパ管壁はコロイド粒子も自由に出入りできるため、組織間液を全身に運ぶ役割をもっている。


つまり、リンパ液と組織間液の成分は同じであると言ってよい。


リンパ管中に入った牛乳の成分(脂肪やカゼイン)などの微粒子(コロイド)により、血液中のコロイド(主にアルブミン)とリンパ管中のコロイドとのバランスが崩れる。


つまり、血管には入れない牛乳中の微粒子により、リンパ液中のコロイド浸透圧が高くなるため血管から、リンパ管への水の移動が起こる。


このように、コロイド浸透圧は組織間液(リンパ液と同じ組成)と血液の水分量の調節をしている。


最後に私の専門である、リポソームの表面修飾に使われているポリエチレングリコールの説明を次回したいと思う。


薬の千夜一夜物語 漢方薬編

ヨーロッパでは漢方薬のようにハーブを処方箋薬として使います。 インドにはアーユルベーダを利用した医学があります。 日本の漢方医学は中医学とは異なり西洋医学の考え方を織り込んだ漢方薬です

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