ポリエチレングリコールについて(その5)
思っていた以上に膠質浸透圧(コロイド浸透圧)は理解しにくいようなので・・・・・・
本日は予定を変更してモビコール™配合内用剤が効果を示す理由について詳しく解説していきます。
浸透圧とは半透膜を挟んで濃度勾配があると生じる圧力のことです。
細胞膜の場合、水は通過するが、Na、Kなどの電解質は通過できないため、浸透圧が生じるわけです。
モビコール™配合内用剤中のポリエチレングリコール4000は消化管壁(消化管上皮細胞)を通過することができません。
つまり、モビコール™配合内用剤を服用した場合、消化管の内外でポリエチレングリコール4000の濃度勾配が生じます。
消化管壁はNaやKなどの電解質は自由に通過できるため、大きな分子量のもの(コロイド等)に対して(モビコール™配合内用剤の場合はポリエチレングリコール4000)浸透圧が生じます。
つまり、モビコール™配合内用剤を服用した場合消化管壁(消化管上皮細胞)が半透膜となるということです。
モビコール™配合内用剤に含まれている添加物は、
マクロゴール4000(ポリエチレングリコール4000の日本薬局方適合品名)
塩化ナトリウム
炭酸水素ナトリム
塩化カリウム
以上です(添付文書より)。
消化管を通過できない分子はマクロゴール4000だけで分子量が大きすぎるため消化管上皮細胞を通過できません。
つまり消化管壁はマクロゴール4000に対して半透膜となっているわけです。
消化管の内側(体内)にはマクロゴール4000のような大きな分子量のものはないかというとそんなわけではなく、アルブミン、グロブリンなど大きな分子量のものが体内には多数存在します。
量的にアルブミンが圧倒的に多いため、体内の膠質浸透圧はアルブミン濃度で決定されます。
モビコール™配合内用剤の場合、NaやKなどの電解質は体内の電解質量(生理的食塩水)とほぼ同じに調節してあるので細胞膜による浸透圧差は生じません。
一方、マクロゴール4000が体内のアルブミン濃度に比較して高く設計してあるため、消化管壁を半透膜とする浸透圧勾配が生じます。
いわゆる、NaやKなどの浸透圧と区別するため膠質浸透圧(Wikipedeia参照)とか、コロイド浸透圧などという呼び方をされます。
つまり、半透膜を挟んで濃度勾配があれば、当然浸透圧は生じるので、等しくするため水の移動がおこります。
モビコール™配合内用剤中のマクロゴール4000濃度を薄くするために体内から移動してくる水分が便を柔らかくし便秘を治療します。
古くから、ポリエチレングリコール4000が慢性便秘薬の第一選択薬とされてきた、欧米では膠質浸透圧(colloid osmotic pressure)はよく知られた存在ですが、日本ではなじみの薄い存在なのかもしれません。
最後に
半透膜を隔てて濃度勾配があれば、浸透圧は生じる。
ということを再確認して今日は終わりにします。
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