ワクチンを作るのが困難なエイズウィルス デシコビ™配合錠(抗HIV薬)
HIVウィルスは非常に変異しやすいウィルスで、すべてのウィルスの表面抗原は異なると言われるほど多種多様な変異を起こすのでワクチンの開発は不可能と言われています。
本剤を開発したのはC型肝炎ウィルス治療薬ハーボニー配合錠などの抗ウィルス薬で有名なギリアド社です。
HIVにはHIV-1とHIV-2と二つのタイプがあります。 HIV-2は西アフリカの一部で見られるウィルスです。(ヒト免疫不全ウィルス Wikipedeia参照)
本剤はエムトリシタビンとテノホビル アラフェナミドの二つの成分を配合した錠剤で、抗HIV-1薬です。
作用機序
エムトリシタビン
HIV-1逆転写酵素阻害剤でウィルスに取り込まれた後、酵素を阻害することでウィルスが自己複製することを防ぎ、ウィルスの増殖を止めます。
テノホビル アラフェナミド
HIV-1逆転写酵素阻害剤テノホビルのプロドラッグで血液中での安定性を細胞膜透過性を高くして細胞内に取り込ませた後、加水分解によってテノホビルにもどってウィルスの自己複製を阻害します。
臨床試験
デシコビ配合錠(エムトリシダビンとテノホビル アラフェナミド配合錠)投与群(333例)と対照薬(エムトリシダビンとテノホビル ジソプロキシル配合錠)投与群(330例)を無作為化非盲検試験で比較した。
本剤投与群(エムトリシダビンとテノホビル アラフェナミド配合錠)
有効率 97.2%(314/333例)
対照薬投与群(エムトリシダビンとテノホビル ジソプロキシル配合錠)
有効率 93.1%(307/330例)
薬剤耐性
エムトリシタビンはラミブジンに対して交叉耐性を示した。
テノホビル アラフェナミドはアバカビル,ジダノシン,ラミブジン,エムトリシタビン及びテノホビルに対する感受性の低下を示す。
副作用
本剤投与時333例中31例に副作用が認められた。
悪心4例(1.2%)、下痢4例(1.2%)等でした。
重大な副作用としては腎機能障害や乳酸アシドーシスなどが報告されています(頻度不明)
製剤
デシコビ™配合錠LT エムトリシタビン200mg/テノホビル アラフェナミド10mg
を含むフィルムコート錠
デシコビ™配合錠HT エムトリシタビン200mg/テノホビル アラフェナミド25mg
を含むフィルムコート錠
薬価
デシコビ™配合錠LT 2799.1円/錠
デシコビ™配合錠HT 4007.2円/錠
最後に
最近の抗エイズウィルス薬は有効性の非常に高いものが次々に開発されています。
またHIV感染の予防効果もあることから、ハイリスク対象者(同性愛者等)に対する使用をアメリカ感染症予防センター(CDC)は推奨しています。
しかし、性病への感染リスクの増加や強い副作用など、感染予防薬として使うことには様々な議論があります。
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